最終日にふさわしい青空の下、合宿9日目、いよいよ最終日の練習がスタートしました。
この9日間、厳しい暑さや疲労の中で積み重ねてきた練習の集大成として、本日は紅白戦を実施しました。グラウンド到着後はアップと準備に分かれて効率よく行動し、スムーズに試合へ入ることができました。アップ終了後には試合を想定したシートノックを行い、一球目を確実に捕球し、ワンプレーを完成させることを徹底的に意識しました。カットプレー、送球、捕球、すべての動作において再現性を高め、当たり前のことを確実にやり切ることは、全日本大会に向かう上でまだ詰めれると感じております。
そして迎えた紅白戦。紅は主力メンバーとして臨み、一回裏に先制点を奪って流れを引き寄せ、序盤は優位に試合を進めました。しかし中盤でのエラーが重なり、同点、さらには逆転を許す苦しい展開となりました。それでも紅は最後まで粘りを見せ、9回裏に1点を返して意地を示し、試合を振り出しに戻すことに成功しました。試合は延長に入り、10回表の白は無得点に終わり、紅も得点できず、互いに譲らない緊迫した展開が続きました。勝負が大きく動いたのは11回表。白が確実に送りバントを決め、さらに連打で3得点を重ね、試合の主導権を握りました。紅も最後まで必死に食らいつきましたが、結果は6対4で白の勝利となりました。
この紅白戦を振り返り、痛感したことはただ一つです。敗因は技術の差ではありません。白の「絶対に勝つ」という気迫、泥臭くても1点を取りに行く執念、その一球に懸ける覚悟、そうした気持ちの強さが紅を上回り、勝敗を分けたと実感しております。技術は互角であっても、勝負を決めるのは最後の最後で出せる気持ちです。
さらに、失点の多くはエラー絡みでした。自ら流れを手放し、相手に主導権を渡してしまったことが大きな反省点です。私達の野球は守備からリズムを生み、攻撃につなげるチームです。守り切ることでチームに勢いが生まれ、そこから初めて攻撃に勢いを乗せられます。逆に、守備でほころびが出れば一気に相手に流れを渡してしまいます。この基本を徹底できなければ、全日本の舞台で勝ち抜くことは到底できません。
全日本まで残された時間はわずかです。しかし、時間が限られているからこそ、今この瞬間から一球一球に魂を込め、守備から流れを作り出す野球を徹底しなければなりません。エラーを防ぐための基礎練習、再現性を高めるための徹底反復、一つのアウトに全員でこだわる姿勢、そのすべてを妥協なく最後の最後まで突き詰めて参ります。
四年生にとって最後の秋田合宿となりましたが、この9日間は、私たちにとってかけがえのない時間となりました。真夏の容赦ない暑さや連日の厳しい練習に挑み続けることができたのは、仲間がいたからこそ、そして何より私たちを常に支えてくださる秋田の皆様、そしてOBの皆様の存在があったからです。苦しい時に仲間と声を掛け合い、全員で乗り越えた瞬間の一つひとつが、今の私達をつくり上げてくれたと実感しております。
この合宿で得たものは単なる技術や体力ではありません。勝負に挑む覚悟、最後までやり切る強さ、仲間を信じ抜く絆、それらは全て、ここ秋田の地で流した汗と、皆様のご支援の積み重ねによって培われたものです。私たちはこの経験を誇りに、そして感謝の気持ちを胸に刻み、これからの戦いに挑んでいきます。
全日本まで残された日数は限られています。しかし、この合宿で得た成長と、皆様からいただいたご声援を力に変え、必ずや結果で恩返しをしたいと強く思います。四年生にとって最後となったこの秋田合宿を「飛躍のきっかけ」にして、日本一という最高の形で感謝の思いを示せるよう、全員で全力を尽くして参ります。
相野七音(花巻東4)